ミッドサマーみた

 

 

今日、私は半年前から見たくてたまらなかった「ミッドサマー」に、ついに足を運んでしまった。

ただのホラー映画(ヒッチコックとか、もっと言えばアリアスターの前作ヘレディタリーとか)なら、きっと見なかったはず。私含め、カラフルでカワイイヴィジュアルに惹かれた女の子は絶対に多いと思う。

正直に言えば今日まで約1ヶ月間、映画館手前でかなり迷い、「今日はそういう日じゃない…」と何かしら理由をつけて見てこなかった。これまで幾度となくTwitter上の各位から「病んでるなら見るな」と脅しがあったことが私を恐れさせていたからだ。

 

結論から述べると、「ミッドサマー」は精神衛生が健康で、恋愛に興味ない人は見なくてもいいし見ない方がいい。この映画を見た所で高尚な利益は期待できない。(個人的な意見ね。)ただ、死んで欲しいぐらい好きだったひとが1人でもいれば、この映画の見方がかなり違うと思う。

全170分のうち約150分間(詳しい時間は分からないがとにかく長い時間)、映画館に入った自分を激しく後悔していた。できることならこのまま目をつぶって映画が終わっていたらいいのに。今すぐにここから出て行こうかとも。

私のこの映画に対する気持ちが動いたのは、まさに主人公ダニー自身が、コミューンの「家族の一員」を受け入れた辺りから。段々と私自身も悪い薬を飲んでいたのかというぐらい、コミューンに対して安心感を得ていた。そして、大きく動かされたのは、ダニーが付き合っていた彼(ごめん名前忘れた)の浮気(軽く言えば)現場を目撃してしまった後。コミューンの女性達が家族であるダニーに対して激しく共鳴する場面だ。失恋したとき、何よりも癒しとなるのは家族や友人からの優しさだろう。あの激しい悲しみに同じ温度で寄り添ってくれる家族を持ったダニーを羨ましく思った。いや、たしかにあの場面を観た多くの人は訳の分からない気持ち悪さを感じるという予想ぐらいは出来る。私はこの世界に狂信し神格化するつもりもない。どうしても、あのコミューンの善悪を評価する気にはなれないのだ。文化、といえばそれまでだが、それだけで気持ち悪がったり何も疑わなかったりすることのホラーを身をもって感じたからだろう。あの全てを間違っていると判断するのは、間違っている。それまで怖いと感じていた全ての現象が、私にとって肯定的に捉えられ始めた。

「ミッドサマー」がホラー映画だとジャンル分けするならば、最もホラーである部分は、その時の私にとってホラーではなく、限りなく快感に近かったと言ってもおかしくない。これまでの全ての気持ち悪さを解消できる瞬間だった。焼けゆく奇妙な小屋に、かつての私の最悪な恋愛を重ねながら。

 

「ミッドサマー」

私は、SNSでの脅しをすっかりと忘れアクション映画を観た後のような爽快さを胸に口角を上げて映画館を出た。かと言って、誰にだって見るのはおすすめしないし、私も過去の恋愛を綺麗に燃やせたので、もう2度と見たくない。

映画好きな人と話すときは、もっと深いこと考えてる人の考察を読んで、それをそのまま真似しようと思う。